メッシュ生成およびソリッド・モデリング

概要

Victory Meshは、新規の2次元および3次元構造のソリッド・モデリングを行うだけでなく、既存の2次元および3次元TCAD構造のメッシュ生成や細分化を行う強力な機能を提供します。
Victory Meshは、DeckBuild TCADグラフィカル・ユーザ・インタフェースから実行可能で、以下を入力として使用することができます。

  • シルバコ標準フォーマットの2次元および3次元ストラクチャ・ファイル (.str)
  • 半導体プロセス・シミュレータであるVictory Processの2次元および3次元の保存ステータス

Victory Meshの出力では以下のことが可能です。

  • TonyPlot (2次元) およびTonyPlot3D (3次元) でグラフ描画
  • 半導体デバイス・シミュレータであるVictory Device、Atlas、Cleverにエクスポート
  • 標準フォーマット (たとえば、.stlや.vtk) で、サード・パーティ・ソフトウェアにエクスポート

デバイスのメッシュ生成 - Victory Meshは、デバイスのメッシュ生成を行う以下の方法を提供します。

  • Delaunay (非構造格子による分割)
  • コンフォーマル (半構造格子による直交座標ベースの分割)

デバイス・メッシュの細分化 (再メッシュ) - Victory Meshには、一般的なものとTCADに特化したもの両方について、Delaunay分割を行う方法が複数あります。

  • Uniform (一様)
  • Impurity (不純物)
  • Junction (接合)
  • Interface (界面)
  • Shape (形状)
  • Approximation Distance (距離近似)
  • Quality (品質)

ソリッド・モデリング - Victory Meshには、Victory Meshエンジン内で直接デバイスを生成する以下の機能があります。

  • Shape Generation (形状の生成)
  • Geometric Transformation (幾何学的変形)
  • Mirror (反転)
  • Join (接続)
  • Crop (切り抜き)
  • Slice (スライス)
  • Combine (結合)
  • Splice (組み継ぎ)
Victory Meshの入力/出力

メッシュの生成および再メッシュ

Victory Meshは、Victory Processから出力された生の幾何学データを入力として読み込み、Victory Device、Atlas、Cleverでのデバイス・シミュレーションに適したメッシュを生成します。
Victory Meshから出力できるメッシュ構造には2つの基本的なタイプがあり、そのメッシュ・タイプはどちらもシルバコのデバイス・シミュレータで使用することができます。

コンフォーマル (左) - ユーザ指定の構造格子メッシュ
Delaunay (右) - 形状と品質に依存して自動生成される非構造格子メッシュ

おもな特長

  • 2次元または3次元いずれかの、ユーザ定義のメッシュ (コンフォーマル) または自動パラメータ定義 (Delaunay)
  • Delaunayメッシュでは、以下の項目に優先順位をつけてメッシュを自動生成することが可能 (複数選択可)
    • 特定の立体要素を含んだ材料
    • 特定の界面材料の組み合わせ
    • 界面からの特定の距離
    • 特定の体積量
    • 特定の物理的位置
  • 特定のシミュレーション・ニーズに合わせたメッシュ・タイプおよび密度を選択できる柔軟性
   

自動細分化によるDelaunayメッシュの生成例:細分化は順に、要素の最大サイズ、界面での細分化、接合位置での細分化を適用。切り取られた部分は、構造内部のメッシュを表示

ソリッド・モデリング

Victory Meshでは、以下の種類の形状を2次元および3次元で生成することができます。

  • 2次元 – 三角形、四角形、円など
  • 3次元 – 円錐、直方体、円柱、楕円体、四角錐、球など

形状は、ユーザ指定の材料で生成されます。生成後、形状をREFINE、CROP、JOINなど、他のコマンドで使用することができます。形状の各タイプは、個別のコマンドで生成することができます。シンタックスは、2次元と3次元とでなるべく一致するよう工夫されています。通常、結果の次元は、形状を定義するパラメータとして使用される座標点の次元によって指定されます。

使用例 – 量子ドット

量子ドットは最近のLEDテクノロジで注目されています。従来のエッチング/デポジション・エンジンで量子ドットを構築することは、現実的ではありません。しかし、ソリッド・モデリングを使用すると、量子ドットの作成を大幅に簡略化することができます。Victory Meshでは、複数のソリッド・モデリング・コマンドを使用して、速く簡単に量子ドットを生成できます。構造ではDelaunayメッシュを使用して、量子ドットやその界面近くに非常に微細なメッシュを作成し、それほど重要でない領域には粗いメッシュを作成します。

量子ドットが見えるように、半導体領域を透視。 構造の内部メッシュの断面図。メッシュの詳細が見えるよう拡大

使用例 – 結晶粒の生成

エキシマ・レーザ・アニール (ELA) などのレーザ・アニール処理は、アモルファス・シリコンを多結晶シリコンに変換し、キャリア移動度を向上するために使用されます。poly-Si構造 (粒子境界) は、レーザの波長、パルス幅、空間ビームに依存します。
Victory Meshでは、ボロノイ離散化法を使用して粒子境界の構造をエミュレーションすることができます。この結晶粒の生成の例は、Simulation Standardに掲載された記事、3D TFT Simulation of Grains and Grain Boundaries, Vol 29, No. 1 Jan-Mar 2019の例を拡張したものです。ここで、結晶粒サイズはすべての方向で変化しています。

結晶粒は、Victory Meshを介して結晶粒プロパティのユーザ設定に従って、領域内に形成することが可能。 作成された構造の電気的特性をTCADデバイス・シミュレーションで解析することが可能

使用例 – 波を打った側壁

一般的に、深い反応性イオン・エッチング (D-RIE) プロセスは、深く、ほぼ垂直な円柱状のエッチングに使用されます。シルバコのプロセス・シミュレータ (Victory Process) では、深い反応性イオン・エッチング (Deep Reactive Ion Etching) プロセスのシミュレーションが可能ですが、非常にトレンチが深いため、この種の詳細なプロセス解析ではシミュレーションに時間がかかることがあります。プロセス・シミュレーションではなくデバイス・シミュレーションに興味がある場合、Victory Meshのソリッド・モデリング・コマンドを使用して、このプロセスの幾何学図形を作成することができます。

構造全体の断面図 (左)
トレンチ内部 (中)
トレンチ埋め込みをしてないシリコン・エッチング (右)

使用例 – テクスチャ加工した太陽電池

光吸収を向上するため、太陽電池の表面はテクスチャ加工して製造されています。結晶シリコンの場合、特定の指数方向に沿って選択的にエッチング速度が向上する異方性エッチングにより、複雑な表面のピラミッドを作成します。これについてプロセス・シミュレーションを実行すると、計算コストがかかります。代替手段には、ソリッド・モデリングを使用する方法があります。このテクスチャ加工した太陽電池は、Victory Meshのソリッド・モデリング・コマンドを使用して生成しました。この構造をVictory MeshのDelaunay再メッシュ・スキームを使用して再メッシュし、ドーパントおよび酸化膜界面を細分化します。それから、このメッシュをシルバコのデバイス・シミュレータに読み込み、デバイス特性の解析を行うことができます。

Victory Meshで作成された構造全体のイメージ。 ドーパントおよび界面のDelaunay細分化のイメージ。 Victory Deviceにインポートされた構造のイメージ、およびテクスチャ加工された表面に広がる電流密度

使用例 – マイクロLED

代表的なマイクロLED構造には、隙間なく配置された多くの材料領域が含まれます。こういったデバイスは、標準のエッチング/デポジション・プロセス・エンジンで生成することが比較的簡単です。しかし、表面キャップ層の形成はかなり複雑です。Victory Meshでは、ソリッド・モデリング・コマンドを使用して、マイクロLED全体を生成することができます。このLEDにも現実的な表面キャップ層形成が含まれます。それから、このメッシュをシルバコのデバイス・シミュレータに読み込み、デバイス特性の解析を行うことができます。

ソリッド・モデリング・エンジンを使用して、キャッピング・ レイヤを持つマルチ・レイヤGaN LEDを作成可能