モンテカルロ法による高度なイオン注入モジュール

MC Implant™は、イオン注入の包括的なモジュールです。イオン阻止、欠陥の形成、非晶質材料および結晶質材料のイオン注入分布をモデリングします。豊富な測定結果との比較から、MC Implantは非常に正確で予測精度が高いことが証明されています。さまざまなイオン/ターゲットの組み合わせを、任意の形状で、基板の結晶方位、入射イオンのドーズ量やエネルギー、入射角度などを変えてシミュレートできます。

イオン注入をシミュレートする高度なソリューション

  • 結晶質および多層膜材料に対する非常に正確なイオン分布プロファイルを提供。
  • イオン進入の深さについて、入射エネルギー(200eV同等の低レベル)から、MeVにいたるまでの広範囲を予測。
  • 分散低減法を積極的に取り入れることで、最新のイオン注入プロセスで生じる問題に対して時間効率が良く、費用対効果に優れたソリューション。
  • MC Implantの包括的な機能で、浅い接合の注入、複数回に渡るイオン注入、プリアモルファス化、HALO注入、およびレトログレード・ウェル形成などの重要なプロセスでの課題を正確にシミュレーション。
  • イオン注入された基板の欠陥によって決まる未知の拡散モデルについて、高度な損傷累積アルゴリズムにより知見を得ることが可能。
  • オブジェクト指向の内部エンジンで、一般的な3次元での物理解析により、反射、再注入、ディープ・トレンチ、ボイド、任意の注入方向、およびウェハの回転などの複雑な効果を分析。

横方向分布におけるチャネリング効果

図は、シングル・ポイントへの注入の様子を表し、すべてのチャネリング方向の3次元シミュレーションを示しています。
実際の構造での同じ注入の様子を示します。 ゲートは非常に薄い酸化膜により強化されていることが、3次元チャネリング効果機能により端的に表示されています(直感に反する結果)。

ディープ・トレンチへ角度を持ったイオン注入

ディープ・トレンチへの角度を持ったイオン注入の図を上に示します。陰影領域のイオン注入は、イオンが真直ぐにトレンチ壁に注入され、そこで反射したことに起因します。

MC Implantの機能とモデル

  • Athenaプロセス・シミュレーション・フレームワークに、3次元二体衝突近似に基づくモンテカルロ・シミュレーション技術を装備。
  • 完全なマルチスレッド処理で、並列計算を実現。使用するCPU数にほぼ比例して、実行時間を短縮。
  • 一般的に使用されているイオン/ターゲットの組み合わせに対して、物理ベースの電子阻止をさらに最適化。
  • 分散低減法により、シミュレーション時間が10倍スピードアップ。
  • 緻密な損傷累積モデルにより、注入のドーズ量に依存するチャネリングまたはプレアモルファス化効果を正確にシミュレーション。
  • 0.2keVまで実験によって検証された正確なドーピング・プロファイル。
  • 次の事象に起因するデチャネリングを正確に計算。
    1. 蓄積されたダメージおよび以前の注入ダメージ
    2. 表面が酸化したポリシリコンおよび他の材料
    3. ビーム幅のばらつき
    4. 進入角度およびエネルギー
    5. 構造中の非晶質材料
  • シリコン基板の結晶方位<100>、<111>および<110>に対する、キャリブレートされた電子阻止。
  • イオン伝播と阻止の一般的な解に含まれる3次元チャネリング効果。

MC Implantのマルチスレッド性能

マルチコア・コンピュータで実行時間が著しく短縮されました。左図は、16CPUマシンで達成した計算時間を示しています(Quad-Core AMD Opteron Processor 8356 x 4を使用)。ボロンイオン100万個の300keVエネルギーの飛跡を追跡し、ウェルの近接効果を解析しました。1CPUを使用した場合6時間40分かかり、16CPUを使用した場合27分以内に解析が終了しました。

サポートする材料

  • Athenaでサポートしているすべての材料に対して、結晶質構造への注入が可能。ダイアモンド構造(Si、Ge、SiGe)、炭化珪素構造(4H-SiC、6H-SiC)、閃亜鉛鉱構造(GaAs、InP、3C-SiC)など。
  • 4H-および6H-SiCなど、最も複雑な構造を持つ材料に対するイオン注入のシミュレーションを適切に行うための異方性電子阻止モデル。
  • 温度および結晶構造依存のダメージ・モデルによる高温イオン注入のシミュレーション。
4H-SiCに、60keVでアルミニウムをイオン注入するシミュレーション・プロファイルは、結晶軸上でドーズ量がばらついていることを示しています[1]。イオン注入においてアルミニウム分布は、結晶方向に非常に依存していることが読み取れます。左下図中の左上の数字[0001]は結晶方位を示しています。一方、右図では[11-23]です。右図のほうが2倍チャネリングが増加したことを表しています。
[1] “Woug-Leung et al, Journal of Applied Physics, vol. 93, pp 8914-8916, 2003”.

Rev.090413_11